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14日 9月 2016

第23回 決算書の資産の価格は、実際の資産の価値とは大違い!!

〜税制が会計に与える影響 in JAPAN〜

 

 今回は税務の話題を少し離れ、会計の役割について考えてみたいと思います。

 

 皆様は会計の役割とはどのようなものとお考えでしょうか。

 

 おそらく多くの方が 「売上―費用=利益」 という計算式がまず頭に浮かぶと思います。「いくら売上が上がったのが、またその売上を達成するために、どの程度の費用を使ったのかを計算し、結果的にどれだけの利益が残ったのかを把握するための仕組み」といった考え方です。

 

 その上で「今月は売上がちょっと落ちたとか、XX費を使いすぎている。 次月はここを見直していこう。」といった改善ポイントを検討される材料として、会計を使用されているのではないでしょうか。ここでは「損益計算書」を前月や、前年同月と対比して企業の業績の変化を把握し、その結果に基づき、会社の改善ポイントを探していくための材料として、会計が利用されることになります。

 

 

 ただその一方で、会社の価値がどの程度増加したのかといった視点で「貸借対照表」を注意深く見る経営者は、以外と少ないように思います。

 

 現金や預金の増減などは注意深く見るが、それ以外はあまり気にしないといった方も比較的多い様に思います。

 

「貸借対照表」は、会社がどのようにお金を調達し、それがどのように運用されていのかを、ある一定の時点で示す表であり、左側(借方)に、調達したお金がどのように使われたのかを示す資産が表示され、左側(貸方)には、株主から集めたお金である資本と、会社の努力の結晶である累積利益、借入金など返済義務のある資金の調達源泉である負債が計上されています。

 

 簡単に言えば、どのようにお金を調達し、そのお金が現在どのような資産で運用されているのかを示す表ということが出来ます。また会社の純資産額(資産‐負債)は、会社の現在の価値を示していうという事が出来ます。

 

 貸借対照表を毎月眺めていると、会社の資産がどのように増加(減少)しているかが良く分かります。別の言い方をすれば、会社の価値がどのように増加(減少)してきたのか、その全体像を俯瞰する上で、貸借対照表をじっくりと眺めてみることが必要です。

 

 ただ今回は、貸借対照表で計上されている資産について、その金額が資産の実際の価値を表しているのかどうかということについて考えてみたいと思います。

 

 例えば資産の代表例は現金、預金です。実際に現金として持っている金額や、通帳の残高金額が貸借対照表に計上されますので、現金預金については、会計上の金額が、資産の実際の価値を示しているということに疑問を持つ方はいないと思います。

 

 売掛金、未収金などの債権については、その未回収の金額より、回収不能であると見込まれる貸倒引当金を差し引くことにより、現金回収可能額として、その資産価値を正しく示しているという事が出来るでしょう。

 

 しかし会社の重要な資産の一つである建物、機械設備等の固定資産についてはどうでしょうか。

 

 日本では固定資産の計上は、まず10万円以上という金額基準があり、また減価償却の期間も通常税務上の法定耐用年数に従って償却を実施するのが実情です。すなわち会社の規模に拘らず固定資産に計上する資産の最低金額は10万円であり、また資産の使用による減価を示す減価償却費の計算についても、実際の資産の価値の下落によるものでは無く、税法で定められた耐用年数に渡り、税法上で定められた方法で償却を実施するのが一般的です。

 

 それに加え政府がその時々の経済状況を眺めながら、経済の底上げを狙い設備投資の促進を進めたい際には、租税特別措置法により一定の要件を満たす資産の即時償却(初年度に100%償却を認める。すなわち取得年度で全額費用に計上すること。)を認めたり、特定の地域で大規模災害が起こった場合においても、早期の復興を図るうえで、即時償却や、投資額の一定割合を税額から控除するといった制度が設けられたりします。その上税務上即時償却するには、会計上も損金経理が要件とされると(資産の全額を、取得年度に全額償却すること)、実際には大きな価値を有する資産が、貸借対象表上はゼロ円として計上されることになります。

 

 また土地などは、相当前に取得した土地が、取得時の価格でそのまま計上されているといった状況であり、現在の価値とは全く乖離している場合も多々あると思います。

 

 そうすると会計上の資産の金額は、一体何?ということになります。また貸借対照表の純資産額が会社の価値を表すと述べたこと自体も、ずいぶんと危うくなって来ます。

 

 いずれにせよ、日本で作成される貸借対照表の多くは、税法の影響を色濃く反映し、世界の中では相当異質なものになっています。

 

 次回は世界中の国が利用している国際会計基準では、このような課題に対しどのように対処しているのかを説明したいと思います。

tagPlaceholderカテゴリ: 海外ビジネスに携わる方の初級税務講座

原 高明公認会計士・税理士事務所

 

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